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更新日:2025年7月1日
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鎌倉文学館は、令和11年(2029年)再開館に向け改修準備を行っており、敷地内に建つ洋館(旧前田邸)を解体し、一部活用等を検討します。
鎌倉文学館は、昭和11年(1936年)に建てられた加賀百万石の藩主として知られる前田利家公の系譜である旧前田侯爵家の別邸を活用した文化施設として、開館以来、約40年にわたり多くの方々に親しまれてきました。築89年を迎える建物の老朽化にともない、このたび、初めての休館を伴う大規模改修工事に着手いたします。
本改修では、国登録有形文化財でもある本館の歴史的価値を損なうことなく、安全性の向上やバリアフリー化、展示機能の強化を図り、「見る・憩う(いこう)・過ごす場所」となることを目指します。敷地内にはカフェや券売所などの利便施設も整備し、より滞在を充実させる文化施設とします。
改修にあたり、敷地南側にある洋館(旧前田邸)については、これまで活用方法を検討してきたもののいずれも実現には至らなかったこと、土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)内に立地しがけ地の安全対策を実施する必要があること、また構造上の制約からバリアフリー化が困難であること等から総合的に判断し、解体することとしました。ステンドグラスや照明器具、瓦などについては、再活用を含めた検討を行います。この解体に先立ち、7月30日(水曜日)及び8月1日(日曜日)に現地で見学説明会を開催します。地域のみなさまの視点から、保存・活用すべき意匠や部材についてご意見をいただける機会となれば幸いです。
鎌倉文学館は、令和11年(2029年)春の再開館を予定しています。
(現在は、バラ園も含め施設への立ち入りをご遠慮いただいております。)
鎌倉文学館は、加賀百万石を治めた前田家が、東京・駒場の本邸とは別に構えた鎌倉の別邸として建てられた洋館です。現在では「旧前田侯爵家別邸」として、その歴史を今に伝えています。
昭和初期の瀟洒な佇まいを残すこの建物は、約15,000点にもおよぶ文学館資料を収蔵する文化施設として、これまで多くの来館者に親しまれてきました。
南に海、三方に山。鎌倉らしい地形に抱かれたこの地で、文学と建築が織りなす”記憶の場”として、鎌倉三大洋館のひとつとして歩みを重ねています。
築89年を迎えた鎌倉文学館には、老朽化やバリアフリー未対応といった、いくつかの課題がありました。今回の改修では、以下の3点を柱に、鎌倉文学館の再構築を進めていきます。
この改修には、「訪れる場所」から、「見る・憩う・過ごす場所へ」という新たな視点が込められています。別荘文化華やかなりし頃の面影を残し、鎌倉の三大洋館のひとつとも称されるこの建物に、いまの時代にふさわしい価値を重ね、次の世代へと引き継いでいくこととします。
鎌倉文学館の窓越しに広がる由比ガ浜の海。鎌倉らしい風景が心に残る一幕を描き出します。
洋館(旧前 田邸)は、前田家が鎌倉文学館(旧前田侯爵家別邸)の敷地内に建てた、もうひとつの建築物です。昭和中期につくられたこの建物には、鎌倉文学館(旧前田侯爵家別邸)に設置されていた一部のステンドグラスが移設され、文学館と共通した意匠も見受けられます。
洋館(旧前田邸)が位置するエリアは土砂災害特別警戒区域(レッドゾーン)にも指定されており、安全性や将来的な運用面に課題を抱えています。また、構造上の制約からバリアフリー化が困難であること、市景観重要建築物等や国登録有形文化財及び歴史的風致形成建造物である鎌倉文学館(旧前田侯爵家別邸)と異なり、文化財としての位置づけはなく、これまで活用方法の検討を重ねてきたもののいずれも実現には至らなかったこと等を総合的に判断し、洋館(旧前田邸)を解体します。鎌倉文学館という空間の体験価値を、未来へつなぐための「選択」です。
洋館(旧前田邸)の解体については、寄贈者・前田利祐氏(第18代・前当主)からのご理解をいただいていますが、建物のステンドグラスや照明器具などは、鎌倉文学館(旧前田侯爵家別邸)や新たな施設へと再利用し、前田家がかつてこの場所に居住されていたという「まちの記憶」と地域に親しまれてきた「瀟洒な建物が醸し出す景観」をしっかり継承してまいります。
鎌倉文学館(旧前田侯爵家別邸)や歴史的建造物としての価値を損なわないよう、出来る限り保存しながら、文学館として充実を図ります。
本格的な改修工事は令和8年度(2026年度)に着工し、鎌倉文学館の再開館は令和11年(2029年)春を予定しています。これまで非公開だった3階の公開やカフェスペースの新設などを通じて、「見る・憩う・過ごす」がひとつになった文学館として生まれ変わります。
なお、敷地内の洋館(旧前田邸)の解体工事は、改修工事の中で一体的に実施予定です。
鎌倉文学館の改修計画の説明及び解体予定の洋館(旧前田邸)の見学が可能な説明会を開催します。
また、「これ、いいね」(気に入ったところや次の世代へ引き継ぎたいと思うことなど参加者の意見聴取)も行います。
なお、見学は敷地内の洋館(旧前田邸)のみとなり、鎌倉文学館及び園庭の見学はできません。
鎌倉文学館は、鎌倉ゆかりの文学者の資料を収集保存しています。休館中も、鎌倉文学館を少しでもお楽しみいただけるようデジタルアーカイブをご用意しました。
これらの資料をより多くの方にご覧いただけるよう、順次デジタル化を進め、公開してまいります。ぜひご覧ください。